アルバムのレコーディングにはどれくらいかかるのか。週末ひとつから2年まで幅があります。実際に日数を食っているものと、スタジオ時間の組み立て方を解説します。
知り合いのある男は、バンドの1枚目のレコードを作るために4日間スタジオを押さえました。そこから出てきたのは11か月後。完成したアルバムと、新しいドラマーと、ちょっとした借金を抱えていました。
珍しい話ではありません。「アルバムのレコーディングにはどれくらいかかるのか」への正直な答えは、長めの週末から2年のあいだのどこか、です。しかもこの幅は才能とはほとんど関係ありません。関係があるのは、「レコーディング」という一語の中に、いくつ別々の作業が隠れているかということです。
実際のところ、アルバム制作にはどれくらいかかるのか
今つくられているレコードのほとんどは、だいたい次の3つの形に収まります。
- •週末アルバム。 2日から4日。ほぼ一発録りで、オーバーダブは最小限。パンク、ジャズ、フォーク、そして名盤と呼ばれるデビュー作の多くがここにいます。曲を完全に体に入れたバンドを、そのまま捕まえる作り方です。
- •インディーの標準形。 スタジオ実働10日から20日。みんな仕事を持っているので、たいてい6週間から10週間に分散します。本気の1枚目や2枚目でいちばん多いのがこの形です。
- •長いやつ。 数か月から2年ほど、断続的にセッションを重ねるパターン。予算が大きいか、野心が大きいか、録りながら曲を書いているか。たいていはその全部です。
真ん中の選択肢が「連続20日」ではない点に注目してください。カレンダー上の時間とスタジオ実働時間は別の通貨です。それを混同することこそが、4日を11か月に変える正体です。
実際に日数を食っているもの
まずドラム。そして誰の見積もりよりも時間がかかります。部屋の中でキットをいい音にするだけで、使えるテイクが1本も生まれないまま丸一日近くが燃えることもあります。そこさえ抜ければ、バンドが噛み合っていればアルバム1枚分のドラムは意外と速く進みます。
そこから作業は枝分かれします。ベースとリズムギターはたいてい速い。時間が静かに消えていくのはオーバーダブです。自然に「ここで終わり」となる地点が存在しないからです。リードボーカルはアルバム1枚で1日から2日が目安。歌う本人が一行ごとに迷うタイプなら、もっとかかります。
コンピング、つまり8本のテイクからいいところだけを縫い合わせる作業は、目に見えないのに実時間をしっかり奪います。編集、ピッチ修正、掃除も同じです。
ミックスはそれ自体がひとつのプロジェクトです。標準的なミックスは1曲あたり半日から2日、そこに1、2回の修正ラウンドが乗ります。マスタリングは速いパートで、アルバム全体でも数日で戻ってくることが多いです。
そして最大の時間泥棒がこれ。決断です。演奏ではなく、決めること。どのテイクか、どのテンポか、どのギターの音か、2番のサビにハモリはいるのか。決断の速いバンドは、そうでないバンドの半分の時間で終わります。
プリプロは、お金よりも多くの時間を買い戻してくれる
いちばん安いスタジオ時間は、そもそも予約しなかった時間です。アレンジが固まるまでリハーサルを重ねる。テンポを全員で合意する。全曲をスマホでラフに録って、車の中で聴く。車の中では、ダメなアイデアが恐ろしいほどはっきり分かります。
「アルバムは11曲、このテンポ、このキー、このアレンジ」と決めた状態で入れば、スケジュールからすでに数日削れています。「ブリッジは当日考えよう」で入れば、その数日を足したことになります。
これは、まずデモを作るべきだという主張の正直な根拠でもあります。詳しくはデモとアルバム録音の違いの解説で掘り下げていますが、短く言えば、デモとは高い一週間のための安いリハーサルです。
途中でパニックにならないスタジオ時間の組み立て方
実際に役に立つ習慣をいくつか。
- •一気通貫の英雄的な長丁場ではなく、ブロックに分けて押さえる。録りのブロック、間をあける、ボーカル、間をあける、ミックス。耳がリセットされ、予算が残っているうちに問題に気づけます。
- •2割ほどの余裕を足しておく。必ず何かがずれます。
- •最後の録音日と同じ週にミックスを入れない。飽きているものをそのままミックスすることになります。
- •締め切りを固く決めて、本気で守る。レコードは完成するのではなく手放されるものです。それでいいのです。
- •入る前に、最終決定権が誰にあるかを決めておく。プロデューサーはギャラの一部を口論を終わらせることで稼いでいます。プロデューサーの役割はきちんと理解しておく価値がある理由のひとつがこれです。
同じ時計が、私たちのゲームでも動いている
Road to Headliner では、これを意図的に再現しました。曲を書き、デモを録り、デモを磨き、そのうえでスタジオセッションを予約する。各段階が実際に時間を消費し、そのあいだバンドの体力は減っていきます。書き込みが足りない曲を急いでスタジオに突っ込めば、現実とまったく同じ結果になります。急いで作った音がする曲です。
最初のリフからリリースまでの全体の流れは音楽制作の流れガイドにまとめてあります。磨きの度合いとスタジオの質が、最終的な曲の評価にどう効いてくるかも書いてあります。
というわけで、アルバムのレコーディングにはどれくらいかかるのか。決断にかかるだけかかります。演奏は速いほうのパートです。
1時間60のスタジオを借りずにこのトレードオフを味わってみたいなら、Road to Headliner で無料でバンドを結成してみてください。ブラウザで動き、料金はかからず、5分ほどで最初のデモセッションを予約できます。


