開発日記

実在の人間同士のバンドのケミストリーをどうモデル化しているか

Oct 28, 20265分で読める

バンドとは、ひとつのステージを分け合う四つか五つの気分のこと。バンドのケミストリーシステムについての開発日記です。何をシミュレートし、何をあえてやらないのか、そしてなぜ結束は下がらなければならないのか。

解散するバンドはたいてい、その瞬間を指させます。ドラマーがバンの中で口をきかなくなったツアー。誰かが「そのリフ、いいと思うよ」と言って、明らかに逆の意味だった練習日。ひとつの外した音で辞める人はいません。誰も口に出さなかった小さなことが十一か月積み重なって、人は辞めるのです。

バンドのケミストリーシステムで捉えたかったのはそこで、これは聞こえるよりずっと難しい。ケミストリーはステータスではありません。マネージャーが相手の顔を思い浮かべないまま下した百の判断の、その残りかすです。

というわけで、Road to Headliner で何をシミュレートし、何をあえてやらないのか、そして書き直しを三回くり返した設計判断の話をします。

ケミストリーのシステムが本当に追いかけるべきもの

手を抜いた作りなら、バンドごとに士気バーが一本あるだけです。いいことがあれば上がり、悪いことがあれば下がり、全員が同時に同じ気分になる。作るのは簡単ですが、嘘です。本物のバンドの気分はひとつではありません。ひとつのステージを分け合う、四つか五つの気分です。

だからこのモデルは二段構えになっています。

  • •メンバーはそれぞれ自分の状態を持っています。 技術はもちろん、体力、気分、そしてこのバンドに何を求めているか。ツアーがしたくて加入した人は、静かな一か月を嫌います。作品を録りたくて加入した人は、ライブだけの一か月を嫌います。
  • •その上にバンドの結束値が乗ります。 この数字はメンバーの要約であって、メンバーを上書きする真実ではありません。結束が下がっているなら、特定の誰かが特定の理由で不満を抱えているということで、それが誰なのかを見に行けます。

この区別は、遊ぶまでは理屈っぽく聞こえます。全員がやや退屈している結束40のバンドと、三人は問題なく一人だけ激怒している結束40のバンドは、まったく別の問題です。前者に必要なのはペースの変化。後者に必要なのは話し合い、あるいは交代です。

結束が下がるようにしなければならなかった理由

最初の実装では上がるだけでした。一緒に練習すれば結束アップ。ライブをやれば結束アップ。心地よくて、無価値でした。上がるだけの数字はシステムではなく、名前を変えただけの経験値バーだからです。

下がるようにした瞬間、ゲーム全体が面白くなりました。

いまでは時間そのものが圧力です。休みなしで何週間もライブを詰め込めば、結束より先に体力が尽きます。現実に起きるのも、まさにその順番です。練習を長く放っておけば、バンドは自分たちを噛み合わせていたものを失います。ほかのメンバーが好きだった人を解雇すれば、帳簿だけでなくスタジオの空気で代金を払うことになります。

結束が下がることは、良いマネジメントに腕の見せどころを与えてもくれます。何も劣化しないなら手入れという概念は存在せず、バンドの運営とは実のところ、ほとんどが手入れです。その日々の中身はバンド運営ガイドで詳しく扱っていますが、短く言えば、休養と練習とメンバー構成のバランスは任意のサブ作業ではありません。それが仕事です。

あえてシミュレートしないと決めたこと

意図的に外したものがいくつかあり、そのすべてについて質問をもらいます。

  • •昼ドラのサイコロは振りません。 何の前触れもなくメンバーを消すランダムイベントはありません。どの脱退にも、数週間前から読み取れたはずの痕跡があります。
  • •決して見せない隠し忠誠度もありません。 バンドに何かが影響しているなら、その正体を突き止められます。当てものは深さではありません。
  • •永久の性格欠陥もありません。 一時期うまくいかなかったメンバーが、永遠に扱いにくい人だと烙印を押されることはありません。人は立ち直りますし、バンドも立ち直ります。
  • •ドラマのためのドラマもありません。 緊張はあなたの選択から生まれるべきで、そうでなければゲームが投げつけてくる雑音にすぎません。

何度も立ち返ったルールはこれです。なぜ自分のバンドが壊れたのかをプレイヤーが友達に説明できないなら、作り方を間違えている。

ケミストリーと才能、勝つのはどちらか

設計側からの正直な答えは、才能は注目を集め、ケミストリーはそれがどれだけ続くかを決める、というものです。互いを嫌っている名手の集まりは、平凡でも噛み合ったバンドをしばらくは上回り、そのあと崩れます。その差が一週間ではなく一シーズンをかけて表に出るように数字を調整しました。現実のバンドでも、ちょうどその時間の尺度だからです。

技術的な話より人間の側を読みたいなら、性格とバンドのケミストリーについて別に書いていますし、週ごとに実際どう動くかを扱った実践編、バンドの運営方法もあります。

調整はまだ続いています。それでも今のビルドは、少なくともひとつのことに正直です。バンドは人でできていて、人は自分の扱われ方に気づきます。

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